自治体がお金を出して10ギガ回線を整備?松山市のフレッツ光クロス拡大から見る地方の光回線事情
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最終更新日:2026年9月25日
松山市の興居島(ごごしま)で、フレッツ 光クロスの提供エリアが広がります。対象は、島内の門田町・泊町・由良町の一部です。
今回の特徴は、松山市が光回線の整備費用の一部を負担することです。各家庭の10ギガ回線の料金を市が払うわけではありません。
なぜ自治体が民間の光回線整備を支えるのでしょうか。NTT西日本の発表と松山市の予算資料をもとに、島の通信事情と住民への影響を整理します。情報は2026年9月25日時点のものです。
興居島の3町の一部で、11月9日から提供予定
対象は松山市全域ではなく、興居島の門田町・泊町・由良町の一部です。NTT西日本は2026年9月9日、次の予定を発表しました。
| 項目 | 発表内容 |
|---|---|
| 対象地域 | 松山市門田町・泊町・由良町の一部 |
| 申し込み受付 | 2026年10月9日からの予定 |
| サービス提供 | 2026年11月9日からの予定 |
| 提供サービス | フレッツ 光クロス、フレッツ 光ネクスト、ひかり電話ネクストなど |
フレッツ 光クロスは最大おおむね10Gbpsの光回線です。フレッツ 光ネクストには、最大おおむね1Gbpsなどのプランがあります。どちらも表示されているのは規格上の最大速度で、家庭で常にその速度が出るわけではありません。
NTT西日本の発表には、対象となる電話番号の範囲も載っています。ただし、番号が該当しても利用できるとは限りません。実際に申し込めるかどうかは、住所や建物の設備を調べて確認する必要があります。
市は何にお金を出す?予算資料を照らし合わせる
市が支えるのは、島に光回線を整備する費用の一部です。NTT西日本は「松山市情報通信基盤整備事業」により、市が整備費用の一部を負担すると明記しています。
松山市の2025年度9月補正予算には、関連する「情報通信基盤運用整備事業」として1億685万3,000円が計上されています。予算説明書によると、財源は市の一般財源で、支出区分は「負担金補助及び交付金」です。
市は事業の目的も説明しています。興居島で約20年前に整備した地域イントラネット基盤に代わる光回線を、民間事業者が整備します。その費用を国と連携して補助するというものです。地域イントラネットとは、地域で使う通信網を指します。
金額の読み方には注意が必要です。1億685万3,000円は、市の予算に計上された関連事業費です。工事全体の確定費用でも、NTT西日本が受け取った確定額でもありません。この資料だけでは、国の負担額や利用可能になる世帯数も分かりません。
「10ギガだけ」のために整備するわけではない
今回の発表には、10ギガ回線に加えて、1ギガ級の回線や電話サービスも含まれます。市の予算資料でも、古くなった島の通信基盤を更新することが目的に挙げられています。
市の支出を「10ギガを使いたい人への補助金」と考えると、事業の全体像が見えにくくなります。さまざまな通信サービスを提供できる基盤を整え、その選択肢の一つとして10ギガ回線も使えるようにする、という見方が適切です。
松山市は過去の事業資料でも、島しょ部の通信基盤を安定して動かし、市内の情報通信格差を縮める目的を示していました。今回の整備も、通信速度を上げるためだけの事業とは言えません。
公費の負担と、各家庭が払う料金は別
市が整備費用を負担しても、利用者の回線料金が無料になるわけではありません。費用の種類を分けて考えると分かりやすくなります。
| 費用の種類 | 何に使うお金か | 今回確認できたこと |
|---|---|---|
| 地域の基盤整備費 | 島で光回線を整備する費用 | 市が一部を負担。関連事業費を予算に計上 |
| 各家庭の開通費用 | 申し込み後の契約・宅内工事など | 個別の料金や割引条件は契約先で確認が必要 |
| 利用開始後の費用 | 回線、インターネット接続、機器など | フレッツ光はプロバイダーの契約と料金が別途必要 |
たとえば、自宅に10ギガ回線を引けても、対応ルーターがなければ性能を十分に生かせません。地域の整備費用と、家庭が支払う総額は分けて考えましょう。機器代を含めた費用は10ギガ光回線の料金総額で解説しています。
通常のエリア拡大と、今回の発表は何が違う?
NTT西日本は各地で10ギガの提供エリアを広げていますが、今回は市が費用を負担すると明記しています。2026年8月に発表された広域のエリア拡大では、愛媛県の今治市なども対象に含まれていました。その発表本文には、松山市の事例のような自治体の費用負担についての説明はありません。
ただし、発表に記載がないことをもって、ほかの地域には公的支援が一切ないとは言えません。今回の資料から確認できるのは、興居島の整備では市が費用の一部を負担する、という点です。
松山市内にも、すでに10ギガを申し込める住所と、今回新たに整備する住所があります。市名だけが載った提供エリア表では、この違いは分かりません。利用できる回線を調べるときは、市町村名より先の住所まで確認する必要があります。
興居島の住民は何を確認すればいい?
10月9日の受付開始予定日以降、まずNTT西日本の公式サイトで自宅の住所を調べてください。提供予定地域に含まれていても、建物の設備や工事条件によっては利用できない場合があります。
- NTT西日本のフレッツ 光クロス提供エリアと住所検索で、10ギガの受付可否を確認する。
- 必要に応じて、1ギガ級のフレッツ 光ネクストや電話サービスの利用可否も確認する。
- フレッツ光のプロバイダー料金と、希望する光コラボの料金・工事条件を比べる。
- 四国の地域独自回線など、別の回線網も住所単位で調べる。
光コラボは、NTTの回線を使って別の会社が提供するサービスです。フレッツ 光クロスのエリアが広がっても、希望する光コラボを同じ日に申し込めるとは限りません。契約を考えている会社にも確認しましょう。
調べる順番は10ギガ回線の提供エリアを住所から調べる方法、契約先による違いはフレッツ 光クロスと光コラボ10ギガの比較を参考にしてください。
10ギガを選ばなくても、整備の恩恵はある
今回の整備で広がる選択肢は、10ギガ回線だけではありません。利用できると確認された住所では、1ギガ級の回線なども候補になります。
Web閲覧や動画視聴が中心なら、まず1ギガ級の料金と設備を確認してみてください。大きな動画ファイルを頻繁に送る人や、家族で大容量の通信を同時に使う人は、10ギガも比較するとよいでしょう。用途による違いは1ギガで十分な家庭と10ギガが向く家庭で整理しています。
松山市の事例からは、地方の光回線整備には「古い設備をどう更新するか」という課題があると分かります。市が整備を支えても、契約先や料金を決めるのは各家庭です。提供開始後は、自宅で利用できるサービスと支払総額を確かめてから選びましょう。
出典
提供予定と市の費用負担はNTT西日本、整備目的と予算額は松山市の一次資料で確認しました。予算額は実際の工事総額を示すものではありません。
- NTT西日本:松山市門田町・泊町・由良町の提供エリア拡大(2026年9月9日)
- 松山市:2025年度9月補正予算事業概要
- 松山市:2025年度9月補正予算説明書
- 松山市:2023年度主要事業
- NTT西日本:各地のフレッツ 光クロス提供エリア拡大(2026年8月27日)


