10GbEを使うならSSDの速度も重要?SATA・NVMe・HDDの違いとボトルネックを解説
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最終更新日:2026年8月16日
10ギガ光回線や10GbE対応NASを導入すると、「LANカードだけでなくSSDも高速な製品へ交換しないと意味がないのか」と疑問に感じることがあります。
10GbEの通信速度は最大10Gbpsです。バイト単位へ換算すると理論上は1,250MB/sとなり、一般的なSATA SSDやHDDの連続読み書き速度を上回ります。ただし、Web閲覧やオンラインゲームまでNVMe SSDが必須になるわけではありません。
10GbEで数十GB以上のファイルを1台へ高速転送するならSSD速度は重要ですが、Web閲覧・動画視聴・ゲーム・速度測定が中心ならSSDだけを高速化する必要はありません。
また、「10ギガ光回線からPCへダウンロードする場合」と「PCから家庭内NASへコピーする場合」では、確認すべき場所が異なります。この記事では、10GbEとSSD速度の関係、用途別に必要なストレージ性能、NASのHDDやSSDキャッシュの考え方、ボトルネックを切り分ける測定手順を解説します。
10GbEを使うならSSDの速度はどれくらい重要か

10GbEの性能を1台のPCと1台のNAS間で使い切りたいなら、送信側と受信側の両方に実効1,000MB/s前後を持続できるストレージが必要です。
10GbEは通信経路の上限を高速化する規格であり、SSDそのものを速くする規格ではありません。実際のファイル転送速度は、回線、ルーター、LANカード、CPU、通信プロトコル、送信元ストレージ、保存先ストレージのうち、最も遅い部分に制限されます。
| 主な用途 | SSD速度の重要度 | 理由 |
|---|---|---|
| Web閲覧・動画視聴 | 低い | 必要な通信量が10GbEの上限より大幅に小さい |
| オンラインゲーム | 低い | プレイ中は大容量の連続転送よりPingや安定性が重要 |
| インターネット速度測定 | 低~中 | 測定データを主にメモリ上で処理する場合はSSDへ連続保存しない |
| 数十GB以上のゲーム取得 | 中~高 | SSDの書き込みとCPUによる展開処理が追いつかない場合がある |
| PC間の大容量ファイル転送 | 高い | 送信元の読み込みと受信先の書き込みが転送速度へ直結する |
| 10GbE NASへのバックアップ | 高い | PCだけでなくNASのHDD構成・SSD・CPUも上限になる |
| NAS上の4K・8K動画編集 | 高い | 連続速度に加え、複数素材への同時アクセス性能も必要になる |
10GbEを10車線の高速道路に例えると、SSDは荷物を出し入れする倉庫です。道路だけを広げても、倉庫の搬入口が狭ければ荷物の移動全体は速くなりません。一方、運ぶ荷物が少ないWeb閲覧では、倉庫を大型化しても体感差はほとんど生まれません。
10GbpsをMB/sへ換算するとSSDに必要な速度が分かる
10Gbpsは理論上1,250MB/sですが、実際のファイル転送では各種オーバーヘッドがあるため、10GbEの上限に近い目安は約1,000~1,180MB/sです。
ネットワークでは「Gbps」、SSDでは「MB/s」が使われるため、そのままでは比較しにくくなります。1バイトは8ビットなので、Gbpsを8で割ると理論上のGB/sへ換算できます。
| LAN規格 | 理論上の転送量 | 大容量ファイルの実効速度目安 | ストレージの考え方 |
|---|---|---|---|
| 1GbE | 125MB/s | 約100~118MB/s | 一般的なHDDでも連続転送は対応しやすい |
| 2.5GbE | 312.5MB/s | 約250~295MB/s | SSDが確実。高速HDDは条件次第 |
| 5GbE | 625MB/s | 約500~590MB/s | SATA SSDの上限に近づく |
| 10GbE | 1,250MB/s | 約1,000~1,180MB/s | 1台で上限を狙うならNVMe SSDが有利 |
表の実効速度は機器や設定によって変わる目安です。標準MTUとジャンボフレームの違い、TCP・SMBのオーバーヘッド、CPU負荷、セキュリティソフトなどによっても結果は変わります。
例えば実測8Gbpsでデータを受信する場合、SSDには約1,000MB/sの書き込みが発生します。実測2Gbpsなら約250MB/sなので、SATA SSDでも十分対応できます。10ギガ契約だから常に1,250MB/sのSSDが必要なのではなく、実際に利用する通信速度から逆算することが重要です。
10ギガ回線で2Gbpsあれば十分なのか迷っている場合は、関連ページの10ギガ回線で2Gbps出れば十分?5Gbps・8Gbpsを目指す必要はある?も参考にしてください。
HDD・SATA SSD・NVMe SSDで10GbEの転送速度はどう変わるか
単体HDDはおおむね2Gbps前後、SATA SSDは4Gbps前後で上限になりやすく、10GbEを1台で使い切るにはNVMe SSDが最も適しています。
ストレージの公称値は製品ごとに異なりますが、代表例を見ると速度差を把握できます。Seagate Exos X22の最大持続転送速度は285MB/s、Samsung 870 EVOは最大読み込み560MB/s・書き込み530MB/s、PCIe 4.0対応Samsung 990 PROは最大読み込み7,450MB/s・書き込み6,900MB/sです。
| ストレージ構成 | 代表的な連続速度 | ネットワーク換算 | 10GbEとの相性 |
|---|---|---|---|
| HDD 1台 | 約150~285MB/s | 約1.2~2.3Gbps | 容量重視。単体では10GbEを使い切れない |
| SATA SSD 1台 | 約500~560MB/s | 約4.0~4.5Gbps | 5GbE級まで使いやすい |
| PCIe 3.0 x4 NVMe SSD | 約2,000~3,500MB/s級 | 10GbEを上回る | 多くの製品で10GbE用として十分 |
| PCIe 4.0 x4 NVMe SSD | 約5,000~7,500MB/s級 | 10GbEを大幅に上回る | 10GbEだけを目的に最高速品を選ぶ必要はない |
注意したいのは、カタログの「最大7,000MB/s」がすべての書き込みで持続するとは限らない点です。多くのSSDは高速な書き込みキャッシュを利用しており、キャッシュ容量を超える大容量転送では速度が低下することがあります。空き容量、SSD容量、NANDの種類、温度、ファームウェア、同時処理によっても変わります。
したがって、10GbE用SSDはPCIe世代の新しさだけで選ばず、長時間の持続書き込み速度を確認します。PCIe 3.0対応NVMe SSDでも実効1,200MB/s以上を維持できるなら、10GbEのファイル転送には十分です。PCIe 5.0 SSDは、10GbEだけのために導入しても性能の多くが余ります。
10ギガ光回線と家庭内10GbEではSSDの影響が異なる
インターネット通信では外部サーバーや回線混雑が上限になりやすいのに対し、家庭内10GbEでは送信元と保存先のストレージ性能が結果へ直接表れやすくなります。
10ギガ光回線からPCへダウンロードする場合
10ギガ光回線のダウンロード速度は、契約回線・プロバイダー・接続先サーバー・宅内機器・PC処理・SSD書き込みのうち、最も遅い部分で決まります。
高速なNVMe SSDを搭載していても、配信サーバーが1Gbps相当までしか送信しなければ、ダウンロードは1Gbpsを超えません。逆に、複数Gbpsで配信できるサーバーから100GB以上のファイルを取得する場合は、SATA SSDの書き込み上限やキャッシュ切れが影響する可能性があります。
ゲームのダウンロードでは、受信データをそのまま連続保存するとは限りません。圧縮データの展開、暗号化、ファイル検証、細かなファイルへの書き込みが同時に行われるため、CPU使用率やランチャーの処理が先に上限になることもあります。タスクマネージャーでネットワーク使用率だけでなく、CPUとディスクのアクティブ時間も確認してください。
PCとNAS・PC同士で転送する場合
家庭内ファイル転送では、送信元の読み込み速度と受信先の書き込み速度の両方が必要であり、片側だけNVMe SSDへ交換しても10GbEを使い切れません。
PCからNASへバックアップする場合は、PC側SSDの読み込み、PC側LAN、スイッチ、NAS側LAN、NASのCPU、NAS側ストレージへの書き込みという順番でデータが流れます。NASからPCへ復元する場合は、NAS側の読み込みとPC側SSDの書き込みが重要です。
同じ10GbEリンクでも、1個の100GB動画ファイルと、100万個の小さなファイルでは結果が大きく変わります。大きな連続ファイルは帯域を使いやすい一方、小容量ファイルはファイル作成、メタデータ更新、アクセス権確認などの回数が増え、SSDのランダム性能、CPU、SMB処理の影響が大きくなります。
インターネット速度測定をする場合
速度測定だけが目的なら、SSD性能より10GbEリンク、測定サーバー、CPU負荷、ブラウザーまたは測定アプリの処理能力を先に確認します。
一般的な速度測定は、受信したテストデータを通常のファイルとしてSSDへ保存し続ける処理ではありません。そのため、SATA SSDだから必ず5Gbpsで止まるとは限りません。速度測定は速いのに実ファイルの保存が遅い場合、ストレージや展開処理が原因である可能性が高くなります。
反対に、速度測定自体も遅い場合は、SSDを交換する前にリンク速度とPC全体の負荷を確認しましょう。詳しい切り分けはPCのスペックが低いと回線速度も遅くなる?で解説しています。
10GbEでSSDの速さが効果を発揮する5つの用途
NVMe SSDと10GbEを組み合わせる価値が高いのは、「大容量データを頻繁に動かし、転送待ち時間を仕事や制作時間として回収できる用途」です。
1.4K・8K動画素材をNASへ転送する
数十GBから数百GBの動画素材を毎日コピーするなら、10GbEとNVMe SSDの組み合わせで待ち時間を大きく短縮できます。
撮影用SSDから編集PCへ取り込み、編集後にNASへ保存する運用では、同じ素材を何度も移動します。1回の差が数分でも、毎日繰り返すと効果が積み上がります。ただし、カードリーダーや外付けSSDが遅ければ、内蔵SSDだけを高速化しても改善しません。
2.NAS上の素材を直接編集する
NAS上で動画・写真・音源を直接編集する場合は、連続転送速度だけでなく、複数ファイルへの同時アクセスとNASの応答性能も重要です。
単一の高ビットレート動画を再生するだけなら帯域に余裕があっても、複数カメラ素材、プロキシ、キャッシュ、音声、サムネイルを同時に読むと負荷が増えます。NAS側にSSDボリュームを用意する方法と、HDD RAIDへSSDキャッシュを追加する方法は効果が異なるため、編集ソフトのアクセス特性に合わせて選びます。
3.PC間で仮想マシンやディスクイメージを移動する
仮想ディスク、システムイメージ、ゲームライブラリーなど、大きなファイルをPC間で移動する用途は10GbEの帯域を使いやすい代表例です。
送信側と受信側にNVMe SSDがあり、途中のスイッチとLANケーブルも10GbEに対応していれば、外付けSSDを抜き差しする手間を減らせます。バックアップソフト側の圧縮や重複排除を有効にするとCPUが上限になる場合があるため、圧縮あり・なしを同じ条件で比較します。
4.複数台から同時にNASへアクセスする
各PCが1GbEや2.5GbEでも、複数台の通信が重なる環境ではNAS側の10GbEと高速なストレージ構成に意味があります。
1台のPCが10Gbpsを使い切らなくても、4台がそれぞれ2Gbps前後で読み書きすれば、NAS側では合計8Gbpsになります。この場合はNVMe SSDだけでなく、複数HDDのRAIDで合計性能を高める方法も選択肢です。
5.高速バックアップと復元を繰り返す
バックアップは作成速度だけでなく、障害発生時に何時間で復元できるかまで考えると、10GbEと高速ストレージの価値を判断しやすくなります。
毎日の差分バックアップはデータ量が少なくても、PC全体の復元では数TBを転送することがあります。ただし、バックアップ先をSSDだけにすると容量単価が高くなります。作業中データはSSD、長期保管はHDDという階層化も現実的です。
10GbEでも高速SSDがほとんど必要ない用途
普段の通信量が1Gbps未満に収まる用途では、NVMe SSDを上位製品へ交換してもインターネットの体感速度はほとんど変わりません。
- Webサイトの閲覧
- 4K動画や音楽のストリーミング再生
- オンラインゲームのプレイ
- Web会議やオンライン授業
- SNSやメール
- 数GB程度のファイルをたまに取得する
- 1GbE対応NASへ保存する
ゲームではSSDによって起動時間やマップ読み込みが短くなることはありますが、LANのPingを直接下げる効果はありません。ダウンロード中にディスクやCPUが上限へ達してゲームが重くなることはあるため、その場合は保存先変更や帯域制限も含めて対処します。
10GbE LANカードのゲームへの影響については、関連ページの10GbE LANカードはゲーム性能に影響する?を参考にしてください。
10GbE NASはすべてSSDにしなければならないのか
10GbE NASでもオールSSDは必須ではなく、複数HDDのRAID、SSDキャッシュ、SSDボリュームを用途に応じて使い分けることが重要です。
複数HDDのRAIDなら合計速度を高められる
HDD 1台では10GbEを使い切れませんが、複数台へ並列に読み書きするRAIDでは連続転送の合計性能を高められます。
ただし、HDD台数を増やした分だけ単純に速度が倍増するとは限りません。RAID方式、読み込みか書き込みか、パリティ計算、NASのCPU、メモリ、コントローラー、ファイルシステムによって変わります。RAIDは可用性や性能を高める仕組みであり、誤削除や災害に備える別バックアップの代わりにはなりません。
SSDキャッシュは大容量ファイルを必ず高速化するわけではない
SSDキャッシュは頻繁に使うデータやランダムI/Oの改善に向きますが、1回だけ書き込む巨大ファイルの速度を常に10GbE上限まで高める機能ではありません。
キャッシュへ収まるか、読み込みキャッシュか読み書きキャッシュか、NASがどのデータをキャッシュ対象にするかによって効果が変わります。大量の動画素材を常に高速で扱いたい場合は、SSDキャッシュではなくSSDだけのストレージプールや作業用ボリュームを検討します。
1台の速度より複数ユーザーの合計速度を重視する場合もある
10GbE NASの目的は1台へ10Gbpsを出すことだけではなく、複数端末の同時アクセスで混雑しにくくすることにもあります。
例えば、PC 3台がそれぞれ1~2GbpsでNASへアクセスする環境では、単体HDDより複数HDDのRAIDやSSD構成が有利です。WindowsのSMB MultichannelやRSS対応NICを利用すると、複数の接続やCPUコアへ処理を分散できる場合がありますが、クライアント、サーバー、NIC、OSの対応確認が必要です。
10GbE用SSDを選ぶときに確認するポイント
10GbE用SSDは「最大読み込み速度」だけでなく、持続書き込み、容量、空き容量、発熱、耐久性、マザーボードとの接続条件まで確認して選びます。
| 確認項目 | 10GbEで重要な理由 | 選び方 |
|---|---|---|
| 持続読み込み速度 | PCからNASへ送る速度に影響する | 実効1,200MB/s以上を維持できれば10GbEには余裕を持たせやすい |
| 持続書き込み速度 | ダウンロードやNASからの受信に影響する | SLCキャッシュ切れ後のレビューや仕様も確認する |
| 容量と空き容量 | 空き容量が少ないとキャッシュや整理処理の余裕が減る | 用途に対して余裕を持たせ、目安として20%前後の空きを残す |
| NANDとキャッシュ方式 | 大容量の連続書き込みで速度が変わる | TLC・QLCという名称だけで断定せず、キャッシュ後の実測を確認する |
| TBW・保証 | 毎日大量に書き込むと総書き込み量が増える | 想定する1日あたりの書き込み量から耐久性を選ぶ |
| 温度と冷却 | 長時間転送で温度が上がると速度制御が働く場合がある | M.2ヒートシンクとPCケース内の風を確認する |
| PCIeレーン | スロット共有でSSDやLANカードの帯域が制限される場合がある | マザーボード説明書でM.2と拡張スロットの共有条件を確認する |
10GbEだけを基準にすれば、高価なPCIe 5.0 SSDは必須ではありません。中上位のPCIe 3.0またはPCIe 4.0 NVMe SSDでも、持続速度が十分なら10GbEの上限を超えます。価格差は、動画編集、ローカルコピー、キャッシュ作成など、ネットワーク以外の処理でも高速SSDを使うかを含めて判断しましょう。
SSDが10GbEのボトルネックか調べる手順
SSD交換を決める前に、「ネットワーク単体」「ストレージ単体」「実ファイル転送」の順に測ると、原因を混同しにくくなります。
| 手順 | 確認項目 | 確認方法・ポイント |
|---|---|---|
| 1 | リンク速度を確認する | PC、ルーター、スイッチ、NASが、それぞれ10Gbpsでリンクしているか確認します。 |
| 2 | ネットワーク単体を測る | iperf3などを使い、ストレージへ保存しない条件でPCとNAS、またはPC同士の通信速度を測ります。 |
| 3 | SSD単体を測る | ストレージベンチマークで連続読み込み・書き込みを測定します。テスト容量を大きくし、短時間のキャッシュ速度だけで判断しません。 |
| 4 | 大きなファイルを1個転送する | 50GB以上など、キャッシュの影響が表れやすいファイルを転送し、平均速度と速度の推移を記録します。 |
| 5 | 小さなファイル群も転送する | 写真、音源、プロジェクトファイルなど、普段扱うデータを転送し、大容量ファイル1個の場合と比較します。 |
| 6 | 各部品の負荷を確認する | タスクマネージャーやNASの管理画面で、ネットワーク、ディスク、CPU、メモリのどれが最初に上限へ達するか確認します。 |
| 7 | 送信方向を入れ替える | アップロードとダウンロードの速度を比較し、読み込み側と書き込み側のどちらが遅いか切り分けます。 |
例えば、iperf3では9Gbps前後出るのにファイル転送が4Gbps前後で止まり、受信側SATA SSDの使用率が100%なら、保存先SSDが有力なボトルネックです。iperf3自体が2Gbpsなら、SSDより先にLANカード、PCIe接続、ケーブル、スイッチ、CPU、ドライバーを確認します。
10GbE対応LANカードの接続条件は10ギガ対応LANカードの選び方、PC全体を10GbE化する費用は10GbE対応PCを作るにはいくらかかる?で詳しく解説しています。
転送速度から保存先SSDに必要な性能を逆算する
保存先SSDに必要な最低速度は、「実際に出ているGbps÷8」でおおよそのMB/sへ換算できます。
| 実際の通信速度 | 1秒あたりの受信量 | 100GB転送の理想時間 | 保存先の目安 |
|---|---|---|---|
| 1Gbps | 125MB/s | 約13分20秒 | HDDまたはSSD |
| 2Gbps | 250MB/s | 約6分40秒 | SATA SSDが安定 |
| 5Gbps | 625MB/s | 約2分40秒 | NVMe SSDを推奨 |
| 8Gbps | 1,000MB/s | 約1分40秒 | 持続書き込みが速いNVMe SSD |
| 10Gbps | 1,250MB/s | 約1分20秒 | 理論値であり、実際はネットワークのオーバーヘッドを考慮する |
時間は10進数の100GBを各速度で割った理想値であり、通信・ファイルシステムのオーバーヘッド、速度変動、暗号化、展開処理を含みません。実際には表より長くなります。それでも、SSD交換によって短縮できる上限を見積もる材料になります。
例えば現在4Gbpsで100GBの転送に約3分20秒かかっている場合、8Gbpsへ改善して短縮できる理想時間は約1分40秒です。この作業を月1回しかしないなら、高価なSSDへ交換する費用対効果は小さくなります。毎日10回行うなら、作業時間を大きく削減できる可能性があります。
10GbEとSSDに関するよくある誤解
10GbEとSSDはどちらか一方を速くすればよいのではなく、用途に必要な範囲で通信経路全体のバランスを取ることが重要です。
7,000MB/sのSSDなら10ギガ回線も7倍速くなる
SSDが10GbEの上限を超えた後は、さらに高速なSSDへ交換してもネットワーク転送は速くなりません。
10GbEの理論上限は1,250MB/sなので、7,000MB/s級SSDの残りの性能は10GbE転送には使えません。PC内部でSSD同士をコピーする処理や動画編集では差が出る可能性がありますが、ネットワークは10GbEの上限を超えません。
SATA SSDでは10GbEを導入する意味がない
SATA SSDでも1GbEより数倍速い転送が可能なため、10GbEが無意味になるわけではありません。
最大500MB/s前後で転送できれば、ネットワーク換算で約4Gbpsです。1GbEの実効速度と比べると大幅に高速です。最大速度を使い切れないことと、導入効果がないことは分けて考えます。
NVMe SSDへ交換すればNASも必ず10Gbps出る
PC側をNVMe SSDへ交換しても、NASのHDD、CPU、RAID、LANポートが遅ければ転送速度は上がりません。
最初にiperf3でネットワーク単体を確認し、その後にNAS側の読み書き速度を確認します。ジャンボフレームは対応機器と設定をそろえればCPU負荷を軽減できる場合がありますが、設定しただけで必ず高速になるものではありません。
SSDが遅いとオンラインゲームのPingも高くなる
通常、SSDの連続速度はゲーム通信のPingを直接決めません。
Pingへ影響しやすいのは通信経路、回線混雑、ルーターの処理、Wi-Fi環境、接続先サーバーとの距離です。ただし、ゲーム更新やクラウド同期でSSDとCPUへ高い負荷をかけていると、PC全体が重くなることはあります。
10GbEとSSD速度に関するよくある質問
10GbE用ストレージは最新規格かどうかではなく、自分の実測速度と転送するデータ量に合っているかで判断してください。
10GbEにはPCIe 4.0 SSDが必須ですか?
PCIe 4.0 SSDは必須ではなく、持続読み書きが約1,200MB/s以上あるPCIe 3.0 NVMe SSDでも10GbEには十分です。
製品の最大値だけでなく、長時間書き込み時の速度低下、温度、空き容量を確認してください。PCIe 4.0 SSDは選択肢が多く、PC内部の作業も高速化したい場合に選びやすい規格です。
SATA SSDでは最大何Gbpsくらい出ますか?
連続速度が500~560MB/sのSATA SSDなら、単純換算で約4.0~4.5Gbpsがストレージ側の上限です。
実際のファイル転送はSSDの状態やプロトコル処理を含むため、換算値を下回ることがあります。反対に、速度測定はSSDへ通常のファイル保存をしないため、SATA SSD搭載PCでも5Gbpsを超える結果が出る可能性があります。
HDDを使った10GbE NASは意味がありませんか?
複数HDDのRAIDや複数端末からの同時アクセスでは、HDD中心のNASでも10GbEを導入する意味があります。
単体HDDへの1本のファイル転送では使い切れませんが、NAS全体の合計帯域、バックアップ、将来のSSD追加を考えると10GbEが有効な場合があります。
SSDを交換すれば10ギガ光回線の速度測定も改善しますか?
SSD使用率が上限に達している証拠がなければ、速度測定のためだけにSSDを交換する優先度は低いです。
10GbEリンク、測定アプリ、測定サーバー、CPU、LANカードのドライバー、ルーターを先に確認します。10GbE有線で毎回1Gbps付近に止まる場合は、10ギガ回線で1Gbpsしか出ないのは遅い?正常?の手順で切り分けてください。
まとめ:10GbEを使い切るなら最高速度より持続速度を確認する
10GbEで大容量ファイルを1台へ高速転送するならNVMe SSDが有利ですが、10ギガ回線を契約しただけで全端末に高速SSDが必要になるわけではありません。
- 10GbEは理論上1,250MB/s、実ファイル転送の上限目安は約1,000~1,180MB/s
- 単体HDDは約1~2Gbps台、SATA SSDは約4Gbps台で上限になりやすい
- PCIe 3.0以上のNVMe SSDなら、多くの場合10GbEに十分な速度がある
- 最大速度だけでなく、キャッシュ切れ後の持続書き込みと温度を確認する
- NASではHDD台数、RAID、CPU、SSDキャッシュ、複数ユーザーの合計負荷も重要
- Web閲覧、動画視聴、ゲーム、速度測定だけならSSD交換の優先度は低い
- iperf3、SSD単体テスト、実ファイル転送の順で測ると原因を分けやすい
最も費用対効果が高いのは、最初から最速SSDを購入することではなく、現在の転送速度と待ち時間を測り、実際に上限へ達している部品だけを交換することです。
関連ページ
10GbE環境を構築・改善する場合は、SSDだけでなくLANカード、PC性能、発熱、実測速度をあわせて確認してください。
- 10ギガ対応LANカードの選び方|PCIeスロットや端子の違いを解説
- 10GbE対応PCを作るにはいくらかかる?
- PCのスペックが低いと回線速度も遅くなる?
- 10ギガ回線で2Gbps出れば十分?5Gbps・8Gbpsを目指す必要はある?
- 10ギガ回線で1Gbpsしか出ないのは遅い?正常?
- 10GbEは発熱しやすい?LANカードとルーターの熱対策
- 2.5GbE対応PCなら10ギガ回線を契約する意味はある?
参考資料
製品の速度はメーカーの測定環境における最大値であり、実際のPC・NAS構成では異なります。
- Samsung 870 EVO 製品仕様
- Samsung 990 PRO 製品仕様
- Seagate Exos X22データシート
- Microsoft:SMB Multichannelの管理
- Synology:10GbEとNVMe SSDキャッシュ